6月8日。東京都江東区のタクシー運転手、湯浅洋さん(54)は、加藤被告のトラックにはねられた人を救助しようとして刺された。意識を失い、目覚めたのは4日後。長男祥人(あきひと)さん(27)ら子供3人がのぞき込んでいた。「何だ勢ぞろいして」。ダガーナイフは横隔膜に達し輸血量は6リットル。「腸に達していたら死んでいた」と告げられた。
宮崎県内の高校を卒業後に上京。10年間、ホテルで料理を修行し、29歳で地元に戻りカレーショップを開いた。しかし1年で失敗。親族から借金し、長女のミルク代にあてた。運転手に転じて生計を立て、今も貯金を取り崩しながら暮らす。それでも悲壮感はない。「勝ち負けはどうでもいい。自分に負けなければいい」。そう信じている。
加藤被告は携帯電話の掲示板に世間への恨みの言葉を書き連ねた。「勝ち組は死んでしまえ」「ネットでも現実でも孤独だった」−−。同情できない。みんな必死に生きている。「事件を社会のせいにするのは違う。(加藤被告は)てめえに負けたんだ」。来月には仕事に復帰できそうだという。
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